GPD Technologyから、7型液晶を搭載したUMPC「GPD Pocket 2」がついに出荷された。Indiegogoで出資したユーザー向けに順次届き始めているほか、日本国内でも株式会社天空および株式会社リンクスインターナショナルが取り扱いを予定しており、Amazonや家電量販店で入手可能になる。

今回、株式会社天空の協力により、GPD Pocket 2の量産機を試用する機会を得たので、レビューをお届けしたい。なお、天空の販売価格は85,450円となっている。

小さく、薄くなって性能が2倍以上のKaby Lake-Yを搭載

GPD Pocket 2は初代GPD Pocketに次いで発表されたUMPCだ。この両機はCPUのアーキテクチャやプラットフォームが完全に異なり、性能も価格もまったくと言っていいほどの別物だが、既報のとおり、GPD Technologyは品質向上のため、本製品の投入をもって初代の製造を終了する。よって、GPD Pocket 2はGPD Pocketの上位としてではなく、正統後継という位置づけになる。

初代GPD PocketはSoCにAtom x7-Z8750を採用していた。開発コードネームCherry Trailで知られるこのSoCは、一世を風靡したWindowsタブレットに数多く採用された「Bay Trail」の後継にあたり、低消費電力を前提としたAtomアーキテクチャの流れを汲むものとなっている。

確かにBay Trailは登場当初、命令のアウトオブオーダー実行対応化により、それまでのAtomとは一線を画す性能を発揮し、市場から高い評価を得た。また、当時のメインストリームアーキテクチャより圧倒的に低い消費電力とパッケージの縮小を実現しており、小型システムへの組み込みを容易化した。その後継CPUが、久しぶりのクラムシェル型UMPCに採用されたということで、GPD Pocketは注目を集めた。

確かにWindows 10を起動でき、簡単なWebブラウジングや文字入力程度であればなんら問題のないGPD Pocketだが、数カ月間もGPD Pocketを使っているとさすがに不満が噴出する。それは、やはりスマートフォン性能の急伸に追いつかない点だ。

たとえば、単純にWebブラウザの挙動をとってみても、スマートフォンはほぼ瞬時に起動するのに、GPD Pocketは数秒待たされる。Webページのロードも、PC版とスマートフォン版の違いはあれど、スマートフォンのほうがスムーズで快適だったりする。まして3Dグラフィックスを駆使するゲームだと、「え、Snapdragon 845であんなに快適に動くゲームがPCでトロトロかい!」となったりする。

また、GPD PocketはLTEといったWANの通信手段を持たないので、外出先ではスマホでアクセスポイントをオンにして、接続してようやくネットに繋がるのに、速度も快適性もスマホより低かったら「最初からスマホ使うわ」となる。そんなわけでこの1年で、筆者にとって初代GPD Pocketはじょじょに「(ITやPC、流行用語に強い)Google日本語入力が使えるポメラ」と化していったのである。

それだけなら毎日持ち運んでいてもさほど苦にならないのだが、GPD Pocketはこれまたバッテリが不安なのである。いわゆるInstantGo機能をバッテリ駆動時にオフにしていても、サスペンドにしているだけでみるみる減っており、2~3日ですっからかんになってしまう。つまり、つねにどこかで充電していないと、使いたいときに使えないのだ。3カ月ぐらいそのまま放置して、ある日開いてみたら「まだ電池あるんかい!」とビックリさせられるポメラ(DM200)の機動力には、およばないのだ。

初代で募ったさまざまな不満を解消してくれそうなのが、進化したGPD Pocket 2だ。CPUにはメインストリームと同じアーキテクチャのKaby Lake-Yを搭載し、Atomから2倍以上の性能向上を実現。それでいて従来より薄型軽量の筐体を実現しているわけだから驚きだ。詳しくはのちほど検証するが、InstantGoを廃し一般的なサスペンドとなったことで、長時間のスタンバイを実現する。初代にあった不満は、本機でほぼ解消されそうだ。

デザインが改善した筐体

前書きはこれぐらいにして、製品を見ていこう。製品パッケージは従来と同じシンプルなもので、特筆すべき点はない。付属するACアダプタも従来と同様USB PDに対応したものであり、12V/2Aの出力に対応している。ケーブルもUSB Type-C to Type-Cのものだ。

本体は従来と同様のアルミニウム合金製だが、精度が幾分向上し、ヒンジのわずかなズレや隙間がほぼ完全に解消された。弊誌のインタビューで、GPDのWade社長は「GPD Pocket 2はわれわれ自身にとっての修練である」と述べているが、その言葉のとおり、外観からもその努力の跡が窺える。

 本体デザインは左右側面の手前側がしぼんだようなくさび形となった。これにより両手で手にしたさいに手のひらに鋭いエッジが当たることも減り、ホールド感がかなり向上している。一方、従来のキーボード手前にあった液晶を開くためのとっかかりが廃止され、液晶側面には若干の段差を設けることになった。これによって若干「ちっちゃいMacBook Proっぽさ」が後退した印象を受ける。

 キーボード奥には、さまざまな機能にすぐにアクセスできる物理プッシュボタンが装着された。従来はキーボードでFnキーと同時押しで実現していたので、この辺りは大きな変化だと言えるだろう。近年は同様のファンクションボタンを実装したノートは少なくなっているが、2000年前後はかなり多かったように思う。この辺り少し懐古的な印象である。耐久性はキーほどではなさそうだが、それほど多用するボタンでもないだろうから弊害は少ないだろう。

 ちなみに公称の重量は465gと、初代の480gから軽量化されているはずだが、編集部に到着したロットは実測512gと、初代の実測500gから12g増えていた。さすがに公称値から50g近い乖離があるので、465gのつもりで手にすると予想以上に重いことにはなる。とは言え、PCとしては超軽量な部類であることに変わりはない。

かなりの慣れを必要とするキーボード

筐体のみならず、キーボードのデザインやレイアウト、感触も大きく変更された。見て触ってすぐわかるのが、キーストロークが初代より明らかに浅くなっている点。動作点も浅めで、現行の「MacBook」に近い深さである。

 初代GPD Pocketは、深いキーストロークを実現するために筐体を一から作り直したほど、Wade氏がこだわっていたポイントなのだが、これが「深すぎる」と実ユーザーから不評が挙がっていた。かくいう筆者も筐体の割には深く感じていたユーザーのうちの一人だが、今回はその声を反映して浅くしたようだ。

 確かにGPD Pocket 2では浅くなっており、入力のレスポンスがよくなった印象を受けるのだが、「ちょっと浅すぎる」というのが正直なところ。おそらく本体の剛性が高くたわみながいというのもあるのだが、あとコンマ数ミリ行ってほしいところで「あ、もうこれ以上押せないんだ」となる。

 また、若干タイピング音も大きめな印象で、パタパタ鳴る印象。筐体が小さいため、音が余計気になるのだ。キーの静音性でいえば、以前レビューした「OneMix」がダントツに静かで、それに初代がGPD Pocketが続き、GPD Pocket 2が一番煩いように思う。

 もっとも、タイピング音以上に気になったのはキーボードの配列である。まず、キーにはかな表記がない英字キーボードで、Windows上からもそう認識されているのだが、なぜか最上段の左から3番目に「半/全」の刻印があるキーが用意されている。そしてこれを押すと、当然英語配列の「`」が入力されてしまうだけで、日本語入力をオンにするためにはAltキーと同時に押す必要があるのだ。

 ここまでなら「日本ユーザー向けの配慮かな?」と思いたいところだが、その2つ隣に「`」があり、まったく同じ動作をするのがよくわからない。つまりこのキーボードは2つも「`」があるのだ。OS上からは当然同じキーコードに見えるので、使わない方をユーザーがカスタマイズすることもできない。せっかく余っているのだから、PrintScreen(現状ではFn+CapsLockで動作)あたりを割り当てておけばいいのに、と思わなくもない。

 もっとも、同社は今後日本語配列のキーボードファームウェアを提供する予定があり、これを適用すればこの理不尽な仕様は解消しそうだ。ただ、それはそれでキートップの刻印が異なるため、シールを貼るなりの工夫が必要になりそうではある。

とはいえ、キー配列については、小さいフォームファクタである以上仕方のないことで、過去にUMPCを使っているユーザーであれば目くじらを立てるほどのものではない。むしろ気になるのは、QとAとZの列すべてで、キーピッチが完全に異なる点だ。具体的には、Qの列は約16.5mm、Aの列は約17mm、Zの列は約15.5mmになっていることだ。

 初代GPD Pocketは、Qの列とAの列が半キー分ずれており、FPSで使うW/A/S/Dキーに左手を置くとかなり窮屈であった。GPD Pocket 2ではAの隣のCapsLockが上部に移動したことで、窮屈さがかなり解消された。が、GPD Pocket 2ではそれぞれの列が異なったキーピッチのおかげで、右に行けばいくほどいびつな配置となってしまっており、「K」や「L」に至っては、本来それぞれ「O」と「P」の下、左から約4分の1ずれた位置にキーの左端が来なければいけないところ、右約4分の1のところに来てしまっている。このせいで、文字入力時にKの入力抜けがかなりの確率で発生してしまった。

 このPCでW/A/S/Dを使ってゲームを機会と、Kを使って文字入力をする機会のどちらが多いのかと言われれば、圧倒的に後者となるわけで、この点初代GPD Pocketから評価を下げざる得ない。もとより、そもそも全列でキーピッチ15.5mmにしておけば、Entertキーの上の「/」を小さくしなくても済むし、Enterキーをもう少し大きくできたであろうから、なぜこの設計になったのか疑問が残る。

ちなみに、従来右側にあったAlt/Ctrl/Shift、およびアプリケーションキーは完全に廃止され、代わりに、狭かった「,」や「.」、「;」、「'」といった記号キー、そしてカーソルキーのキーサイズが周囲のキーと同一になった。また、電源ボタンがファンクションボタンとなったことで、DeleteキーはBackSpaceの上に配置され、Enterの上は先述のとおり「/」となった。

変更されたキー配列については、慣れでなんとかなると感じたものの、各行の異なるキーピッチについては、少なくとも1カ月程度の試用で慣れることができず、違和感が残った部分もである。

意外にも実用的なポインティングデバイス

GPD Pocketでスペースバー手前に用意されたスティック型のポインティングデバイスだが、GPD Pocket 2では廃止され、キーボード奥の右側に光学式の小型タッチパッドを配置するようになった。本機は設計当初、完全な画面タッチとし、ポインティングデバイスを廃止することを決めていたが、ユーザーの不評を買ったため、急遽搭載することとなった。

こういったポインティングデバイスの理想の搭載位置としては、やはりキーボードのホームポジションから手を動かさずにアクセスできるG/H/Bの間だが、おそらくすでにキーボードの金型が完成しているのと、本体内部スペースの問題で、右奥となったのだろう。本機はファンクションボタンの左側が左右クリックとなっており、基本的に両手でポインティングデバイスを使うことを想定している。

ただ本機の光学タッチパッドはOneMixのものとは異なり、タッチパッド自身を押下できるのが特徴。短く押下すれば左クリック、長く押下すれば右クリックとして動作する。さすがにドラッグ&ドロップ操作はできないが、それ以外の操作は右手だけで行なえるはずだ。ただ、OneMixのように表面の軽いタッチでクリックすることはできない。

光学タッチパッドの精度はかなり良く、指が離れるとすぐ無反応になるため、誤操作が少ない。長距離のポインタ移動において何回も指を離さなければならないのはほかの光学式タッチパッドと同様だが、そのストレスが比較的少ない部類である。

もっとも、カーソルの移動は遅いため、画面の端っこから端っこまでとなると「ええい、もうタッチでええわ!」と思うことも少なからずある。だが、そのタッチと併用できるもの本機ならではの特徴だろう。

しぼんだ側面と左右両手で操作するポインティングデバイスにより、本機もかつてソニーが発売した「バイオU」の「モバイルグリップ・スタイル」に似た使い方が可能となっている。つまり、立ったまま利用するときに、両手で左右をホールドすると自然に親指がくる位置にポインティングデバイスがあるのだ。もっとも、バイオUはThumbPhraseと呼ばれる、親指でケータイのように入力するソフトが付属するが、本製品は当然そのようなギミックはない。それでもポインティングデバイスの操作に関しては、少なくともGPD Pocketのスティックよりは自然な姿勢で操作できる。

新たに搭載された静音モードなど、ほかの特徴も押さえる

本機は従来モデルと同様にファンを搭載しており、負荷時に一定の回転数まで上がる。騒音は決してうるさい部類ではないが、静かな場所だと気になるレベルだというのも確かではある。そこで本機は新たに静音モードを設けた。この機能はファンのアイコンに「OFF」の文字がついたファンクションボタンを押すことで動作し、動作中はインジケータが緑に光る。

 ファンOFFと書いてあるからファンが完全に停止するものと思われがちだが、じつは本機は「静かな場所で気にならないレベルになるまでファンの回転数を下げる」だけであり、ファンが完全に停止するわけではないようだ。深夜の静かな時間帯で試してみたところ、耳を本体に当ててようやくわかる程度であった。

 MicrosoftのSurfaceの一部モデルでは、ファンレスゆえに性能が発揮できないこともあったが、GPD Pocket 2ではファンを装備し、常時回転させておくことでサーマルスロットリングを回避しているという。

ただ、筆者がテストしたところ、ファンがフルのモードでも静音のモードでも、表面温度は42℃ぐらいがピークで、PCMarkや3DMarkのスコアに変化が見られなかった。CPU温度でいえば、静音モードでも負荷時は80℃が上限であり、CPUの上限である100℃まで十分にマージンがとられているため、スロットリングが発生することは皆無だった。小型筐体ながら放熱はかなり優秀だと言える。

 インターフェイスは、microSDスロット、USB 3.0×2、USB 3.0 Type-C、および音声入出力。旧モデルからMicro HDMIが削除されたが、USB 3.0が1基増えたため、汎用性はより高まったと言える。

 筆者は取材でカメラを多用するが、microSDカードスロットを装備したことで、(カメラ側にはmicroSDからSDカードへの変換アダプタが必要になるものの)写真の取り込みも容易になった。また、出張先でUSBマウスを接続していても、もう片方のポートが空いているので、客先から資料をUSBメモリで渡されても困らない。

 本機からはUSB Type-Cが大幅に強化され、あらゆるソリューションに対応可能になったのもポイント。従来モデルはType-Cドッキングなどと相性問題が存在し、充電と周辺機器の接続が両立できなかったが、今回のモデルではあらゆる周辺機器に対応できるという。筆者は旧モデルでもさほど困ってはいなかったが、新モデルはメイン機として使えるほどに性能が向上しているため、意外にもこうした拡張性は重要かもしれない。

液晶は従来と同様の1,920×1,080ドット表示対応7型。視野角は広くきれいだ。すでに明らかにされているとおり、この液晶はMIPI接続であるが、Intel UHD GraphicsにはMIPIインターフェイスがないため、eDP→MIPI変換チップが採用されている。そのためか、デバイスマネージャーには「モニター」の項目が存在しない。ただ、Intelのドライバからは問題なく認識されている。とはいえ、デフォルトが縦であるのは相変わらずで、本機はあくまでもIntelドライバによる画面回転で横表示を実現している。

この点、初代GPD Pocketも共通であったのだが、本機では新たにBIOSが回転表示に対応したため、首をひねらなくてもBIOS設定ができるようになった。しかしWindowsアプリとの相性は相変わらずであり、ソフトウェア画面回転に対応しない一部アプリなどが正しく表示されないのは従来どおりではある。

スピーカーは左側のみでモノラルだが、音量は十分であり、ちょっとした動画鑑賞なら問題ない。ヘッドフォン出力はややかまぼこ気味だが、これも実用十分なレベルだろう。

UEFIは横表示に。内部もかなり洗練

目にあまり付かないところも一応触れておこう。UEFIはGPD WIN 2とは異なり、設定項目はかなり少ない。設定をいじって性能向上といった遊び心よりも、安定性重視のものだととらえた方がいいだろう。ただ、Intel XTUをインストールして起動してみたところ、電圧およびTurbo Boost Power Time Window、各部の最大電流量といった設定は変更可能であった。少しでも高性能や省電力を望む場合、設定してみると面白いかもしれない。

底面カバーはプラスネジ6本で固定されており、ユーザーによる内部アクセスも可能だ。かなりスペースに余裕があった初代GPD Pocketに比べると、本機は部品がかなり密集している。これは左側面にもインターフェイスを設けたからである。

また、初代は各パーツが異なる色であり、「ありものの寄せ集め感」が否めなかったが、GPD Pocket 2はヒートシンク、ファン、フラットケーブル、バッテリなどがブラックで統一され、より洗練されたデザインとなった。Wade氏は「GPD Pocket 2はわれわれ自身の修練である」としたが、その修練の結果が目に見えないところでも表れている。

先述のとおり、本機はConnected Standby非対応となり、スリープと休止状態の組み合わせとなった。デフォルトでは、バッテリ駆動時で15分後にスリープに入り、45分後に休止状態になるように設定されている。休止状態では復帰に10秒ほどを要するが、作業中の内容はそのままなので、電源オフよりは運用しやすい。

実際に休止状態にして半日ほど放置してみても、その間バッテリ残量がほぼ維持され、問題なく作業を継続することができた。GPD Pocketでは電源オフにしていても同時間でバッテリを3%ほど消費したりしていたので、そこから大きく改善されたと言えるだろう。

「2」に恥じない性能を発揮

最後にベンチマーク結果をお伝えしておこう。テストしたのは「PCMark 10」(グラフ1)、「3DMark」(グラフ2~5)、「ドラゴンクエストXIベンチマーク」(グラフ6)、「CrystalDiskMark 6.0.1 x64(UWP)」(グラフ7)、「Cinebench R15」(グラフ8)である。

GPD WIN 2のレビューのときと同じくして、GPD Pocket 2は概ねすべてのベンチマークでGPD Pocketの2倍以上のスコアを残した。GPD WIN 2と同じSoCを採用しているのだから、当たり前といえば当たり前ではある。

唯一、CrystalDiskMarkのリードの結果はもう少し上がってもいいように思えるのだが、ライトの結果は良好だ。圧倒的に性能が向上したCPUと合わせて、やはり普段使いではGPD Pocket 2に軍配が上がる。

実際に操作しても、Atomにありがちだったもっさり感は抜けており、メインストリームと遜色のない使用感を達成できている。「Asphalt 9」のような、ハイエンドスマホでは快適なのにGPD Pocketではカクカクな3Dゲームも、とりあえず操作や体感に大きな支障はないフレームレートでプレイできる。

バッテリ駆動時間をBBenchで計測したところ、約5.79時間動作したところでバッテリが5%となりシャットダウンした。BBenchがかなり軽量な部類に入るため、実利用では3~4時間程度になることが予想される。さすがに1日の利用は無理だが、2~3時間の実作業を伴う半日の外出なら問題なくこなせそうだ。

再び盛り上がるUMPC市場

GPD Pocket 2はGPD Pocketの後継として素晴らしい性能向上を果たしたモデルだ。デザインや内部設計もかなり洗練されてきており、わずか1年半のあいだにこんなにも変化させられるものなのかと感心させられる。GPDのような小企業でも、大手に匹敵するほどの製品をデザイン/設計/開発できるのだから大したものだ。

数々のミニノートを見て使ってきた筆者だが、唯一キーボードが少しネックだと感じた。ただ個人差もあるだろうし、さらに長期的に使用していれば慣れるものかもしれないが、GPDにはぜひとも次モデルで「より素直なキーボード」を開発していただきたいところではある。

その一方でキーボードの奥に配置されたポインティングデバイスだが、立ったままの利用では必然的に両手で本機をホールドする姿勢になる関係上、初代よりもこちらのほうがしっくりくる。逆に初代に戻って使ったさいに違和感を覚えたほどだ。デスクトップにおける利用では、ホームポジションから指を移動せざる得ないため効率は下がるが、それならばいっそのこと外付けのマウスを利用するのもアリだろう。

性能面については文句なしで、動画処理や3D処理を行なわないのであれば、普段使いなれているデスクトップと遜色ない使用感を達成している。この点は初代から大きく進化していると感じた。総合的に見れば、使う人を選ぶ初代に対し、より多くのユーザーの選択しになりえる製品に仕上がっている。

GPD Pocket以降、中国・深センのONE-NETBOOK TechnologyやToyJoyといった企業も相次いで7~8型の液晶回転式2in1を発表しており、かつて日本で活気づいていたUMPCのブームが再来している。製品デザイン的には似たり寄ったりな印象が否めないが、機能やスペック面で差別化がきちんとなされている印象はある。UMPC市場が再び盛り上がり、小型PC好きにとって選択肢が増えることは大変喜ばしいことである。GPDには引き続きこの分野をリードしてもらいたい。